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新横浜の物件相場


以下のデータは,at home webおよび 東京カンテイで2007/5/1時点で公開されているデータを利用した。
不動産経済研究所の記者発表資料なども大いに参考にしている。

新横浜と各沿線の賃貸マンションおよびファミリーマンションの最近の中古物件相場データをまとめた。
なお家賃や物件価格は,必ずしもその地域の価値そのものを表しているものではないし,各世帯の考え方(重視する点)や条件(通勤形態,家族構成)によってもその価値観は異なる。単純に数字だけをもって地域の「優劣」を論じることは避けたい
中古物件の坪単価は新築分譲物件の坪単価とほぼ正の相関にあると考えてよいが,最近開発が急に進んだような地域は築年数の浅い物件比率が大きく,数字が高めに出る傾向がある。
データはあくまで平均であり,まったく同一条件の物件(例えば駅から等距離・等面積の新築物件)を比較したものではない。
考察はあくまでも私見である。



まず下の図は,横浜線(左)/市営地下鉄(右)両沿線各地域の,直近6ヶ月(〜2007年4月)の,部屋数毎の賃貸物件家賃相場を示している。



続いて下図は,横浜線(左)/市営地下鉄(右)両沿線各地域の,2006年の中古物件の坪単価の相場を示している。


さて,上下を並べてみると,新横浜には特徴がある。特に港北ニュータウンと比較してみると興味深い。
※域内推定人口はそれぞれ新横浜約13,000人/1駅 ⇔ 港北NT約50,000人/4駅

【新横浜】
賃貸物件家賃は,特に小型の物件は横浜市内で最も高い。3LDKになると,今回統計に使用したデータ内の平均並みになる。
一方で,中古物件の坪単価は,横浜線沿線では高い部類だが,市営地下鉄沿線では平均か,平均よりやや高い程度である。賃貸物件需給が非常にタイトで高騰している状態なのに比べれば,分譲価格はそれほど高くないことを意味する。
物件の賃貸利回り(=買って貸したときの効率)は神奈川県内で最も高い地域であるという記事を以前読んだことがある。
新横浜の住宅需給傾向は大都会型であり,通勤の利便性を重視し,現役時代に短中期的に住む考えの世帯が多いのではないかと推測される。将来転勤になっても貸せることを見越して物件を購入した転勤族も多そうである。
また,「現役引退して子供も独立したので,老後は医療施設の至近なマンションで」,という夫婦も少なからず居そうである。新横浜は,1世帯あたりの人数は,約1.8人(※新横浜町内のみ)と横浜市内他地域に比べてもっとも低い地域の一つである。



今後は,駅ビル建設,更なる商業ビル増加,JRA-WINS,北新横浜開発,篠原の整備,環状北線や東部方面線の開通がどのように影響するかが注目される。相変わらず住民が主役の街でないことは確かであろう。



【港北ニュータウン】
対照的なのが市営地下鉄沿線の中川,センター北,センター南,仲町台のいわゆる港北ニュータウンである。
東京都心に直通している地域(東神奈川,菊名,町田,あざみ野)と同等あるいはそれ以上に坪単価が高く,つまり新築物件も高い。
これは,周辺に大規模な商業施設や公園,学校が多く,域内の生活環境が急激に整備されてきているためであろう。
一方でこれら地域は,賃貸相場はそれほど高くもなく,特にファミリータイプで平均を下回る供給過剰状態となっている。投資利回りが小さく,購入後に転勤などで離れる可能性がある人にとっては,高く貸すことは期待できないので物件購入時のリスクとなる。転売は容易であろう。
この地域には,地元での生活利便性を重視し,終の棲家と決めて分譲物件を購入する,家族構成2〜4人の世帯が多いのではないか。横浜市統計では,港北ニュータウンの1世帯あたり人数は町ごとに2.7〜2.9人と高い。通勤利便性重視の少人数世帯は,あまり港北ニュータウンを選択していないのではないか。



今後は,当分続きそうな住宅供給,商業施設拡充,地下鉄新線の開通,域内整備に比べ遅れている域外接続道路整備,副都心計画による企業進出などの影響があると予想される。
特にまとめというか結論はないが,要は住むのにどこが快適か,便利か,賃貸がいいのか,分譲がいいのかは,
(繰り返しになるが)各世帯の事情によって異なるわけであり,その評価軸は多様なはずである。



これらデータはあくまで統計であって,必ずしも個々の真実を表すものでないので,考察内容の真偽については保証できない。
統計の落とし穴の一例を挙げると「新横浜居住者の平均収入は市内で最も高い部類で,都内を含めても最上位の部類に位置する。」という統計的事実があるが,ここから「新横浜はお金持ちが住んでいる」と言えるだろうか。
国勢調査などによれば新横浜在住世帯の多くが最近10年以内に転入した少人数世帯であり,現役就労者比率が高く子供や年金生活者比率が少ないため,こうした結果が出るのは当たり前である。



以上。

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参考

右下ほど賃貸利回りが高く,左上ほど賃貸利回りが低いことを示している


東急線,神奈川県内地域との比較,左が賃貸,右が分譲中古


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